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作品番号:57
編成:12Violoncelli
出版:Edition Breitkopf 6846(Score)/6847(Parts)
録音:Die 12 Cellisten der Berliner Phillharmonica(ACANTA
42798)(PolyGram POCG-3980)/Cello-Ensemble Peter Buck(harmonia mundi
HMC 905240)/チェロ・アンサンブル・サイトウ(PHILIPS PHCP-332)
クレンゲルの書いたこの曲は、チェロアンサンブルの中でも特に有名です。ト長調、8分の6拍子の、ゆっくりとした単純なメロディが3回繰り返されるだけの曲ですが、そのメロディの美しさと澄んだ響きは、筆舌に尽くしがたい魅力があります。
12のパートは、大きく3つのグループに分けられます。1〜4・5〜8・9〜12のそれぞれ4本ずつが一つのグループとなって響きを奏でるようになっています。
序奏部では、12番のGを根音として順番にハーモニーを積み重ねて行き、そのあとのメロディを導きます。
最初のメロディは、5番チェロが中音域で朗々と歌います。6〜8番の3本は伴奏形ですが、合間に出てくる対旋律もとても魅力的です。特に8番チェロは、全体の響きを支える役割もになっており、重要です。
間奏部は、主に9〜12番がメロディで、6〜8番がハーモニーです。12番から順に音を積み重ねて盛り上げていくのは序奏と同じですが、序奏よりも躍動感のある音の動きが次のメロディを導いてくれます。
2番目のメロディは、弱音器を付けた1番チェロが高音域で歌います。非常に音域が高く難しいのですが、ここには、透き通ったような、まさに天上で奏でられているような音質が似合います。これを、2〜5番の4本で支えます。
2回目の間奏部は、1回目と似ているのですが、その後半部分に7番チェロに新たな音型が出てきます。8分音符のG−Fisのシンコペーションですが、この動きが次の大合奏を導くお膳立てをします。
3回目は12本の大合奏となります。1番と5番のチェロが、オクターヴユニゾンでメロディを奏で、2〜4・6〜8番の6本がハーモニーをつくります。9〜12番は、アルペジオのピチカートで曲をリズミカルに進めて行きます。ここでのポイントは、このピチカートをしている4つのパートです。このパートのリズム感と響きが、曲全体を左右するといっても過言ではないと思います。
コーダ部分は、間奏部とよく似ていますが、12本すべてが加わっており、より重厚な響きになっています。また、6番と8番のパートに、間奏部にはない音の動きが出てきており、曲の締めくくりに向かって盛り上げます。16分音符でG−Fisを繰り返すだけの単純な音型ですが、曲を締めくくる原動力となる重要な動きです。その後、この2パートが重音でピチカートを弾き、全パートでG−durの和音を伸ばして曲は締めくくられます。
私が弾いたことのあるパートは、1・3番のみです。メロディのある1番パートが難しいのはもちろんですが、それ以上に、それを支える3番パートは響きのアンサンブルの点で難しいです。また、9〜12番のパートも、この曲を演奏する上で非常に重要な位置を占めています。演奏時には、メロディを奏でる1番と5番に加え、9〜12番のパートにも重点的に名手を配置することで、曲全体を引き締めることができると思います。他のパートには、ハーモニーを奏でるのが得意なメンバーを充てるとよいでしょう。